フィルタの利用例
エアフィルタの選定の際、3つの大きな要素があります。
どのような性質の供給空気なのか、どの程度きれいにするのか、経済性はどうかということです。
また、その他の諸特性(耐湿性、耐蝕性、耐火性など)を考えて、フィルタを選定することが必要です。
1.一般ビル
空調方式によるエアフィルタの選定
1.エアハンドリングユ二ット
大型ビル 各階・ゾーン空調方式
※◆付きはアクシー製品です。
a.一般用
◆パネル型プレフィルタ
b.外気処理用
自動巻取型
自動更新型
c.循環空気用
◆ロングライフフィルタ
◆中高性能フィルタ
誘電形フィルタ
2.ファインコイルユニット
大型ビル空調方式(エアハンドリングユニットとの併用方式)
3.パッケージユニット
小型ビル ダクト併用空調方式・個別方式
◆パネル型プレフィルタ
◆ロングライフフィルタ
◆薄型中高性能フィルタ(アルミ枠)
◆薄型中高性能フィルタ(紙枠)
4.ルームエアコン
個別方式
プレフィルタ(一体成型品)
5.空気清浄機
プレフィルタ(一体成型品)
◆薄型中高性能フィルタ
電気集塵機
2.特殊用途
用途によるエアフィルタの選定
1.クリーンルーム
HEPA・ULPAフィルタ
サプライユニット
システム天井
2.暖房廃棄及びオイルミスト除去
◆厨房排気用…グリスフィルタ
◆防火ダンパー
オイルミスト用…電気集塵機
3.塗装ブース
◆給気用…プレフィルタ
排気用…フィルタパッド
水洗式塗装室
4.有害ガス・悪臭除去
◆活性炭フィルタ(パネル型)
◆活性炭フィルタ(カセット型)
◆活性炭素繊維フィルタ
5.粉流体で汚染された作業環境の浄化及び工場排気
バッグ型フィルタ
バグフィルタ
集塵機
1.快適な室内空気環境の維持について
空気調和とは
空気調和は、一般に空調あるいはエアコンディショニングと呼ばれています。
それは室内(空間内)の空気の温度・湿度・気流・清浄度をその目約にあった条件に調整し、室内に分布させることです。
そして、それらの要素を空気調和の4要素といいます。
居住者の快適性の増大・作業能率の向上・外部からの汚染防止などを目的とした最適の室内空気環境を作り出すために、空気調和の4要素を調整する必要があるのです。
2.空気調和をするための設備
空調設備のなかみ
- 空気調和機…エアフィルタ(空気のろ過)、空気冷却器、空気加熱器、空気加湿器、送風機
- 熱源機器…冷凍機設備(冷熱源設備)、ボイラ設備(湿熱源設備)
- 熱運搬装置…配管設備(冷温水の運搬)、ダクト設備(冷温風の運搬)
- 自動制御装置…上記機器を自動制御し、コントロールする装置
空気調和機の基本構造
クーリングタワー
(冷熱源設備)
ボイラ設備
(温熱源設備)
ダクト設備
(熱運搬装置)
空気調和機の種類…空調方式による分類
3.エアフィルタのメンテナンスも大切に!
フィルタのろ材は、汚染空気をろ過する量の増加につれて、捕集された粉塵がフィルタに蓄積し、目詰まりを生じ、所定量の粉塵を捕集すれば、そのフィルタの圧力損失は著しく増加し、集塵能力は低丁、再飛散のおそれもでてきます。
このため、比較的細かい汚染物を取る中高性能フィルタや超高性能クラスのフィルタは、再生が難しいため定期的に交換する必要があります。
また、比較的粗大な汚染物を取るプレフィルタは、再生しやすいため水による洗浄あるいは掃除機による吸引などによって定期的に再生し使用します。
それゆえ、フィルタの種類に応じたメンテナンスを心がけることにより、設備への負担をも軽減することができ、経済的な空調システムの運営が可能となります。
4.“きれいな空気”とは
多様化する現代社会では、大気は多くの物質によって汚染されています。
そのなかで、エアフィルタはその大気より汚染物を分離除去して“きれいな空気”にしていくという目的により発展し、空気調和の4要素のひとつである空気清浄の分野で大きく貢献しています。
今日、高層ビルなど人々の集まる場所を、外気を取り入れて空調する場合、汚染された外気をエアフィルタが浄化して、常に新鮮な空気を供給し続けています。
また、空気の汚染は、室内においても、居住者の衣服から発生する塵埃、たばこの煙などにより発生していて、一部は循環空気として処理されるので、そこではそれらの汚染物を除去するタイプのエアフィルタが活躍しています。
汚染された空気には、下図のようにいろいろな大きさの汚染物が混ざっています
5.エアフィルタの性能
エアフィルタの性能を表す要素として、圧力損失・効車・寿命があります。
1.圧力損失
フィルタに空気が通過するとき、空気の流れが妨げられ抵抗が生じますが、フィルタをある処理風量で使用したときの空気圧(静圧)の差圧値(低下値)を『圧力損失』といい、Pa(パスカル)で表示されます。
圧力損失(空気抵抗による空気圧の損失)
=フィルタ通過前(上流側)の汚染空気の空気圧 - フィルタ通過後(下流側)の浄化空気の空気圧
=上流側の静圧-下流側の静圧
すなわち、静圧の差を測定することにより計測できます。計測器としては、微差圧計を用います。
2.効率
図のように小さな汚染物を取り除きたい時に目の粗い金網をフィルタとして使っても、小さな汚染物に対してはフィルタの役目を果たします。
このようにいろいろな大きさの汚染物に対してフィルタもいろいろな種類があります。
この種類の分け方がフィルタの性能でいうところの『効率』です。
『効率』を得るための測定方法はフィルタの種類によって異なリ、基本的に3種類に分かれ次表のような区分になります。
横にスクロールできます。
フィルタの種類 | プレフィルタ | 中高性能フィルタ | HEPAフィルタ |
---|---|---|---|
効率の測定方法 | 質量法 | 比色法 (光散乱積算法) |
計数法 |
対象となる汚染物の大きさ | やや粗大な汚染粒子 | やや微細な汚染粒子 | ごく微細な汚染粒子 |
試験規格例 | JIS B 9908 形式3 (換気用エアフィルタユニット) |
JIS B 9908 形式2 (換気用エアフィルタユニット) |
JIS B 9908 (クリーンルーム用 エアフィルタ性能試験方法) |
試験粉塵 | JIS Z 8901 15種 (概略の粒径 10~20μm) |
JIS Z 8901 11種 (概略の粒径 2μm) |
JIS Z 8901 13種 0.3μm DOP |
効率の分類 | 20~90%以上 各種 |
60%以上クラス 90%以上クラス |
99.97%以上 |
3.寿命
フィルタに汚染物が多量に詰まると図のように「風通し」が悪くなります。
この風通しが悪くなることを、フィルタの性能では圧力損失が上昇するといい、メンテナンスの時期となります。
ですからフィルタの圧力損失(初期圧力損失)から、汚染物が付着し上昇した圧力損失(最終圧力損失)になるまでの時間が、フィルタの『寿命』ということになります。
一般的にフィルタの最終圧力損失は、初期圧力損失の2~3倍といわれています。(特にプレフィルタにあっては、最終圧力損失に達するまでに、効率がその最高値の85%に低下した場合、その時点を寿命と考えます。)
寿命を実験的に求める方法
JIS15種混合試験粉体を分散機にて分散して試験フィルタに供給し、最終圧力損失に達するまでの給塵量(保塵量)を測定し、その値を基にして、下記計算式により机上計算値としての寿命を求めることができます。
ここでいう給塵量(保塵量)は、プレフィルタの場合、給塵量を用い、中高性能フィルタの場合、保塵量を用いて計算します。
粉塵濃度とは、ビル管理法「空気環境の調整基準値」に基づく仮定濃度で0.15mg/m3を用います。
質量法(JIS B 9908 形式3)試験装置
比色法(JIS B 9908 形式2)試験装置
4.取り扱いフィルタ一覧
実際に取り扱っているHEPA・中性能フィルタをPDFでご紹介をしております。
ご要望の商品などがある場合は、お気軽に当社にご相談ください。